指揮 | ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー |
演奏 | ソヴィエト国立文化省交響楽団 |
録音 | 1984年(CDのデータ上は1974年8月10日) |
発売 | ビクター |
CD番号 | ICN-9430-2 |
この演奏は、ビクターから出ていますが、最近BMGから出たロジェストヴェンスキーの全集に入っているものと同じ演奏です。 ちなみに、手元のCDには録音が1974年と書いてありますが、その頃はまだソヴィエト国立文化省交響楽団は無かった筈…… どうやら、録音年が間違っていたようです。 で、感想ですが、この演奏を初めて聴いたとき、確かに技術は素晴らしい、 が、なんて金属的な響きの金管なんじゃーーー!! と思いました。 よく、ブルックナーは大自然を感じさせる自然な暖かい響きが相応しいとかよく言われますが、この演奏はそんな事を微塵も感じさせません。既に弦からして、スチール弦ばりばり使ってるだろうっている音ですが、金管の響きの前ではそんな事は忘れさせられます。 吼えるホルン、ギラギラしたトロンボーン、大砲でもぶっ放しているようなティンパニー、そして、突き刺すトランペット、とても西欧のオーケストラでは許されないでしょう。しかも、これが全く破綻することなく、極めて整然と演奏されるのです。 これが最高潮に達するのが4楽章の最後の最後のコラールの部分です。ここで全ての響きが一つになって自分のほうに突き進んできます。他の演奏によくある、目の前に大きな壁か山ができてそれを仰ぎ見るといった感じではありません。あくまでも突き刺して来ます。ちょっと他の演奏では感じられないような響きです。 余談ですが、この最後の部分、譜面上はメインのテーマをトランペットが吹いて、合いの手をホルンが入れてるのですが、ロジェストヴェンスキーは独自のアレンジを加えていて、テーマを吹いたトランペットがそのまま合いの手を吹き、休みなしでまたすぐメインのテーマを吹いています。とても人間とは思えません。 私は、この演奏を聴いていると、あまりの人工的な響きに、なぜかソビエトの工場で製品がフルオートでどんどん量産されていくイメージが浮かんできます。 いままで聴いてきた5番の演奏の中で、一番好きな演奏です。(1999/10/15) |