A.ブルックナー 交響曲第3番 ニ短調

指揮カール・シューリヒト
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音1965年12月2〜4日
発売EMI
CD番号CDZ 25 2924 2


このCDを聴いた感想です。


 聴いた瞬間、「しまった! もっと早く買っておけば良かった!」と思いました。

 実は、わたしはこの曲を大学時代に演奏した事がありまして、その時、第3番のCDはまだそんなに種類が多くない事もあり、わたしの周りの友人でこのCDを買った人が結構いました。
 そして、聴いた人の感想を聞いてみると、「うーん……どうもいま一つ……」という意見が多かったので、わたしもセル/クリーブランドの演奏に満足していた事もあり、「ま、わざわざ聴く必要はないか」と思い、買いませんでした。
 ところが、何年か後、ブルックナーの第5番や第8番の演奏を聴いて、その演奏の素晴らしさに驚きました。
「シューリヒトってやっぱり凄かったんだ!」と初めて分かったのです。
 これに味を占めて、さらにシューリヒトのブルックナーの録音の中でも最高と謳われている第9番(ウィーン・フィル)を買ってきたのですが……
「あれ?…あれれれ………」
 期待が大きすぎたせいでしょうか、それともわたしが理想とする第9番が変わっているのでしょか、どうも今一つグッと来る演奏ではありませんでした。
 巷でも評判が高かった第9番の演奏が合わなかったショックは大きく、そのすぐ後に購入するつもりだった第3番はとりあえず買うのを止めてしまいました。
 それからさらに何年か経った後、中古CD店でこのCDを見つけました。
「第8・9番を持っていながら、第3番だけ買い残しているのはなんだな…」
 などというコレクター根性丸出しの理由で購入する事にしました。
 そして、聴いた感想が冒頭の言葉だったのです。

 この演奏の魅力は、以前、シューリヒトが指揮したブルックナーの第8番について書いた内容に近いものがあります。
 テンポ自体も速めですし、過剰な歌わせ方をしないこともあり、全体の雰囲気は『あっさり』と言って良いほどです。
 しかし、この抑制の効いた歌わせ方をする事で、全体の構造や流れが掴みやすくなり、かえって曲のスケールの大きさが良く伝わってくるのです。
 しかも曲自体のスケールが大きいからといって、力んだところは全く無く、肩の力が抜けた自然体の演奏でありながら、風に乗って空に飛ぶように高い高いところへ上がっていくような演奏です。
 さらに第2楽章は非常に柔らかく、ちょっと触れただけで折れてしまいそうに思えるほど、音の一つ一つが繊細に奏でられています。これはピアノの部分だけでなく、フォルテになっても柔らかさは失われることはなく、響きを中心として包み込まれるような広がりをもったフォルテです。
 また、特筆しておきたいのが、第4楽章の管楽器による和音進行です。
 この部分はピアノで弦楽器が八分音符のメロディーをうねうね弾いていて、その上をやはりピアノで管楽器がコラールのように和音を吹いているのですが、テンポが速めな分和音の移り変わっていく様が手にとるように分かり、しかもその和音がピッタリ融けあっているため、夢の中のような幻想的な雰囲気が生まれています。
 こういう演奏が出来るのもウィーン・フィルだからこそかもしれませんね。(2001/9/7)


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