A.ブルックナー 交響曲第2番 ハ短調

ノヴァーク第2稿(1877年版)

指揮カルロ・マリア・ジュリーニ
演奏ウィーン交響楽団
録音1974年12月8〜10日
発売TESTAMENT(EMI)
CD番号SBT 1210


このCDを聴いた感想です。


 メロディーの美しさを存分に堪能できる演奏です。
 過剰に表情をつけるのではなく、しっとりと丁寧に歌うことで、メロディーが持っている美しい面を浮き立たせています。料理で言えば、調味料でいろいろ味をつけたのではなく、素材の本来持っている味を生かしているといった感じで、作為的なところがなく自然に聞こえてきます。
 なかでも印象に残ったのが第1楽章の第3主題です。
 メロディーの美しさというと、本来は第2楽章でしょうし、実際、第2楽章も良いのですが、それに輪をかけて第1楽章が良かったのです。
 第1楽章の第3主題は、ブルックナーによく登場する「タンタタ、タンタタ」という低弦が演奏するリズムに乗って、長い音符がコラール風に流れていく動きなのですが、まずリズムから良く歌っています。同じリズムを延々と繰り返すだけなのに、メロディーと同じように豊かな表情が表れています。さらに、その上を行くコラール風の動きがまた優しいのです。ほんのりと明るく、そよ風のようにさらさらと涼しげに流れていきます。
 他の演奏では、リズムが硬く立っていたり、推進力が強すぎて、どうも元気が良すぎるように聴こえるのですが、この演奏では、抑え方が上手く、バランスも絶妙です。
 こういう流れるようなメロディーの歌わせ方をする演奏は、スクロヴァチェフスキーやシューリヒトのように速めのテンポでトントンと進んで行く場合が多いのですが、ジュリーニの演奏は少し印象が異なります。むしろ遅めのテンポで、節目節目では区切りをつけて歌わせています。じっくりと歌わせるというタイプに近いのですが、流れは後ろに引っ張られず前に進みます。ただ、するすると川の流れのように常に流れ行くのではなく、音楽の変わり目では堰で区切ったかのように、ピタッと音楽を収めます。こういう境目があるため、音楽にまとまりが感じられるのです。
 また、テンポが遅めというと、いわゆる巨匠系の雄大な音楽を連想しますが、この演奏はあまりそう感じません。
 巨大な響きで圧倒したり、パワーでグイグイ押したり、ガツンとぶつけるといった演奏ではなく、響きは丸く穏やかです。リズムも鋭く決めたりせず、上にも書いたようにむしろメロディーに近くよく歌わせています。
 かしこまって聞くというよりも、ゆったりと穏やか気分で音楽に浸れる演奏です。(2011/2/26)


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